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日本で活動中のサッカー監督のブログ

バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

スペインの監督学校では
トレーニング理論を勉強してます。
昨日はあるスポーツの1場面を
とりあげてその部分を強化する
トレーニングを議論しました。

例えばサッカーにおける
空中戦の競り合いを改善する練習に
ついて実際に練習例を考えながら
議論しました。

使っている筋肉の種類と作用は正しいか
がまずはチェックポイントになります。

ヘディングのジャンプは体全体の筋肉は
使うものの主に足全体の筋肉が
伸縮性の作用をともない
爆発的パワーを得て発揮されます。
あるクラスメイトは複数のハードルを使って
連続してジャンプする練習を考えました。
連続ジャンプの感覚が
狭いので足の筋肉の十分な伸縮が
発揮されないとか、
そもそも足を上げてハードルを越えて
飛ぶこと自体がヘディングのジャンプの
目的から離れてしまう
といった議論をしました。

自分の意見をクラスメイトにわかりやすく
説明しながら先生も含め納得させる。

この行動自体が監督として選手に練習そのものあるいはその意図と必要性を伝える行動と同じだなと思いました。
日本語に比べるとスペイン語のディベート力や表現力はまだまだ足りません。しかし
自分自身が監督をやっているからこそ
周りに臆することなく授業で自分の意見
をズバズバ言えるようになりました。
それと同時に監督学校で自分の意見を整理
して、わかりやすく伝える訓練をしてる
ために、自チームの練習でもスムーズに
選手に自分の意図を説明し、選手を
納得させたり説得できるように
なっています。

正直、自チームの指導と監督学校の授業
か被って今シーズン、卒業単位を全て
取得することはできないですが
この好循環を継続して自己成長につなげます。








本日の試合は6-1で負け。

第一GKが突如試合前夜に上のカテゴリに
招集されて第二GKに頑張ってもらったものの
練習不足が露呈してしまいました。
特にゴールキックからのつなぎについて
ボールを置いてから周りをみて考えるので
相手にパス方向がバレバレになるという。
これは練習時間を確保してあげなかった
僕のミスでした。

相手はペナルティエリア外から枠に届くシュートが
打てるのに僕らはボテボテのシュートしか打てないという
ところでかなり厳しい戦いでした。

第2Qまでは2-1で頑張っていたものの
第3Qでチーム全体が前のめりになったところを狙われ4失点。
第4Qには相手エースを下げる余裕を見せられるもこちらは
得点できずという感じでした。

今週は選手の出席人数が少なく
チームの戦術練習ができなかったことが
響きました。もう一度、チーム戦術をやり直し
というところです。

個人戦術部分でも数的有利と不利で守備の方法を変えること
サポートのタイミングと位置に大きな課題を残しました。

技術面では浮き球のコントロールについて一部の選手は
完璧にできており、これが全員でできるように
引き続き取り組みます。

チーム戦術と個人戦術、そして技術を1時間半で
同時に改善しなければならないのはホントに難しいですが
各パートの目的を絞り込むことで一つ一つ解決していきます。
第4節の試合は0-2で負け。
これで1勝3敗ですね。
1失点目は相手MFのドリブルで
こちらの選手二人が剥がされた
ところから崩れました。
それに合わせて相手FWが日本対ブラジル戦のネイマールのように守備選手の視野から消えてマークを外して決められてしまいました。
完全に力負けという感じです。
2点目は相手FKを味方GKが後逸する技術ミスが致命的でしたが、そもそもFKにさせてしまった組織守備も問題でした。

攻撃についてはディフェンディングサードから確実に繋げるだけの判断力がなかったり、ドリブルかパスの判断ができていないのが課題でした。

守備については2対1の場面での戦術ミスはなくなったもののチャレンジアンドカバーや味方と連携する守備を試合を通じて実現できてなかったのが課題。
浮き球のコントロールについても改善はみられるものの完璧からは遠く、継続して強化して行きます。

個々の選手は本当に戦ってくれており、満足してますが実力不足は否めず、日々がんばって改善するしかないですね。
昨日U19日本代表が準々決勝で北朝鮮にPK戦の末に敗れ
4大会連続で世界出場できないことになりました。
U19年代で4大会も世界大会に出場できないのは
Jリーグ発足後初めてのことです。

単純にいうことはできないものの
将来彼らの世代が日本代表の中心を担うときに
W杯出場を達成するのに確実に苦しむことを
今回までの結果は示しています。
僕自身としてはこれは日本サッカーにとって
たいへんな危機と思っています。

日本代表がW杯出場できなくなれば
スポンサーや放映権など代表収入が減り
併せてJリーグ人気も確実に衰え
日本サッカーの市場自体が縮小するので。

スペインサッカー人の端くれとはいえ
長くこちらにいながら思っていたことを
日本サッカーへの提言として書いておきます。
ただしこれには僕自身の偏見や誤解もあるかも
しれないので、そのときはコメントで
ご指摘いただけるとありがたいです。

1,指導者資格講習会の民営化
サッカー協会の技術委員会が主催する指導者資格講習会
(特にS級)について授業科目と内容を透明化し
協会認可の下、企業や他の教育機関が行うことを認める。
Jリーグができて20年経過しながらS級資格を養成する講習会が
全国に一つしかなく、協会内部で独占状態になってるのは異常です。
選手や指導者、クラブチームが競争環境にあるように
指導者講習会の制度にも競争原理を導入すべきと思います。
スペインでは各指導者学校が乱立しすぎて一部不正を働いた
学校もありましたが、総じて各学校が受講者らの評判を意識
しながら指導内容やカリキュラムを工夫しています。

2,外資規制(Jリーグ規約12条2)の撤廃
Jクラブの株主の過半数が外国人である場合を
認めるべきという話です。
日本国内で潤沢な資金調達をしてきた
Jリーグ草創期のモデルは日本経済の低迷とともに
完全に崩れました。
各クラブは資金調達に汲々として選手の平均年俸も
アジアでトップといえません。
サッカー選手よりもサラリーマンをした方が
生涯年収が高いということもザラです。
つまり日本でプロサッカー選手になることが
必ずしも経済的成功にならないということです。
これでは優秀な人材確保に大きな支障をきたしますし
選手の海外流出も止められません。
プレミアリーグの20クラブのうち10クラブ
は外国人オーナーであり、スペインリーグも
経済危機にもかかわらず外国人オーナーに
資金援助を得て運営しているクラブもいくつもあります。
近年のACLにおいてもJリーグは資金面の縛りから
中国や韓国のクラブに完全に後塵を拝しています。
中国ではスペイン人のトップ選手と契約する替わりに
スペインの銀行のスポンサーをつけたり、日本に比べて
資金調達面で一歩先をいっています。
Jリーグも国内だけでなく幅広く資金調達できるように
上記の規約を撤廃すべきと思います。
さらにJリーグのスポンサーに配慮して
Jクラブが酒造メーカーのスポンサーにつけることを
許さないとか、単なる印象論でパチンコメーカーからの
広告は受け付けないとか、各クラブの経済的な苦しみに
対してあまりにも目先の発想しかできていないと
思っています。

3,育成レベルのリーグ制度の改善
サッカーの強豪と呼ばれる国には必ず育成レベルで
ピラミッド状の年間リーグ制度があります。
日本も既に育成レベルのリーグ戦が
導入されていますがリーグ内のチーム数が
少ないために「年間を通じて」という部分で
まだ発展途上です。
もちろん他のカップ戦や学校行事があったり
試合会場の確保に苦労されているのが
現実とは思いますが。
100年の歴史があるスペインと
単純比較はできませんが
こちらは16チームのホームアンドアウェイで
年間30試合がU9年代からあり、
さらに完全に昇降格のあるピラミッド状の
リーグになってます。
これらの競争環境の中で選手、指導者、
クラブチームが切磋琢磨しています。

4、審判の評価制度について
日本の審判の質がよく問題視されますが
僕は審判を審判する部分
がブラックボックスすぎて問題だと思います。
もっと評価を透明化してリーグ制度同様
明確な昇降格制度をつくるべきと。
場合によっては各チームの選手や監督による評価を
加味するのも良いでのは。
審判が試合を壊す試合ほど観ている人の
モチベーションを落とすものはないのでこの部分の改善は必須かなと。

5,キンダー年代への注力
ドイツはこの年代から英才教育ができる環境をつくり
長い低迷を脱して今回のW杯で優勝した礎を築いたと
多くのドイツ人サッカー関係者は言っています。
日本でもキンダー年代への普及の取り組みはありますが
強化という意味ではとらえられていません。
将来のスーパースターをどのように育成するか
という部分が弱いと感じています。
特に最近は子供たちの運動能力が低下しているとも
いわれますがこれはドイツの昔の傾向と似ていると思っています。
音楽や野球に英才教育があるようにサッカーにおいても
普及のみならず選手強化という意味でこの部分に注力すべきと。

などとつれづれなるままに思いついたことを書きましたが
異論、反論などコメントにいただけるとまたありがたいです。

よろしくお願いします。
今日は我らがメルカットノウ・マゴリアU9チームと
エウロパというバルセロナの名門チームと練習試合をしました。
7人制サッカーになるのですが
あちらは12名なのにこちらは7名で交替なし。
さらにあちらには二人の本職GKがいるのに
こちらは正GKが休みで誰もGK経験なしで
最初からかなりつらい試合でした。

結果は1-16の惨敗。
相手はルーレットや多彩なフェイントで
僕らを翻弄しつつ、長短のパスを織り交ぜて
完全に実力差を見せました。
こちらは交替もできなかったので
すっかり疲れてしまい最後の方は
守備も完全崩壊しました。

僕としてはGKの起用ミスが大反省で
早急に第二GKを固定化して育てる必要を感じました。
選手の中にはボールを追いかけるのを途中でやめたり
数的不利の守備状況にもかかわらず歩いて見てたり
味方のドリブルを近づいていってつついて邪魔したり。
試合経験のなさを大きく露呈しました。

良い点でいうと
練習したフェイントを試した選手がいたり
ドリブルの方向を変えれるようになったり
ドリブルかパスかの判断ができてたり
練習でやっていることを出せている選手も2,3人いました。

ジタバタしても仕方がないので
フェイントとドリブル、スクリーン、
その他のボールコントロールを
毎日、少しずつ身につけさせます
ファーストタッチコントロールはその後ですね。
あとはそれと並行して練習中にゲームの時間を
しっかり取ってポジションの取り方や守備の仕方を
修正していくしかないなと。
今回はクリエイティブなプレーっていうときの
クリエイティブとは何かという話をします。

クリエイティブなプレーとは見ている人が
思いもしない意外な手段で局面を
打開することだと思ってます。

例えば後ろから出されたロングボールをそのままダイレクトで
ゴールに突き刺したり、予想もしないフェイントで
何人も相手選手を抜いたり。
これらは技術的な創造性に基づくプレーといえます。

もう一つはグアルディオラのバイエルンやバルサが
実践していたような戦術的創造性です。
つまり観ている人には思いもしないところから
選手が表れてボールを受け、気がつくと
相手守備を崩しているというプレーですね。

もう一つは身体的創造性です。観ている人が
思いもしないスピードや高さで相手を圧倒して
局面を打開したり、危機を救ったりするときに
言えるかもしれません。

しかし、これらの創造性をいかに伸ばすかという
ところは多くの議論があります。
ある人は

「子供のときは創造性を育てるために詳しい戦術を教えるべきではない」

「創造性を育てるためにコーチから頭ごなしで教えず、子供に考えさせよう」

とかいったりしますね。

そのときの創造性とはどういう意味なのかも曖昧です。

ここからは僕の見解です。

技術的創造性について
可能性の低いプレーでもチャレンジすることに
ついては褒めるときは褒めるべきですが、
無謀なプレーに対しては指摘をする必要があります。
何をもって無謀ととらえ
何をもって勇気とみるかは
指導者の主観によるところが大きく難しいですが。

例えば自陣でフェイントをして成功した場合は何もいいませんが
失敗したときにはやはり指摘が必要です。
「そんなプレー二度とするな!」と頭ごなしの否定ではなく
「こちらにパスしたほうが簡単だと思うけどどう思う?」とか
という提案方式が多いかもしれません。
あるいはフェイントをした場所が相手陣内で
うまくいかなかったとして

「お前は下手くそなんだから、そんなプレーはするな」
というよりも「こうやったら次はうまくいくかもしれない」
と伝えられる指導者の方がいいかもしれませんね。

逆に監督からあれをやって駄目、これをやって駄目
あるいは失敗した選手を頭ごなしに怒る
ような指導をすると選手は萎縮してしまい
消極的なプレーに終始します。
日本人はシュートを打てる時に打たないと
ヨーロッパの人によく揶揄されます。
これはミスをするという責任を背負いたくない
国民性もありますが、失敗したら怒られたり
罰を受ける環境で育った影響も大きいと思います。

またストリートサッカーがさかんだった以前と比べて、
クラブが普及した今はクラブで指導者が小さいときから
効率的なサッカーを子供に教えすぎてロナウジーニョや
デル・ピエロやジダンのような技術的創造性の
ある選手が減ってしまったという人もいます。

次に戦術的創造性について
技術的創造性に対して頭ごなしに規制を
かけてはいけないという話をしましたが
戦術的創造性については全く逆で
局面ごとに条件付けを行い、
選手に適切な選択肢を伝えてできるように
しなくてはいけません。
日本の育成で一番欠けている部分が
この部分だと僕は思っています。
なぜならこれをやって駄目、あれをやって駄目と
規制をかけることは指示としては簡単なのですが
局面ごとに選手がどのように動くべきかを
きちんと整理して選手に伝えて実現させる
ことはそれ以上に難しいからです。
どうやって相手陣内までボールを運んで
相手ゴールを陥れるかを個々人で判断しては
意思統一ができず、連携できません。
かくいうスペインでもこれらをきちんと整理できてる
指導者は限られますが。

相手の守備の仕方に対して多様な選択肢を持てる選手が
これにあてはまります。しかも日本では戦術は
ある程度、大きくなってからで技術を磨くことに
小学生時代は集中した方がよいとされることが
多いですが、スペインは逆に小さい時にこそ
攻守の戦術を叩きこまないと、反射的なスピードで
動けなかったり応用が効かなかったり
してしまうという考え方をします。

碓かにスライディングタックルをしてはいけないところで
してしまったり、ヘディングを反射的に誤った方向に
跳ね返してしまったりするのはW杯のレベルでも
観られました。
またいつどのタイミングでスペースに
入るか、どうスペースをつくるかも
子供のことからではないと
完璧に身に付きにくいです。

ということで長々とサッカーにおける創造性の話をして
きましたが、創造性を潰すから子供たちに
作戦盤を使って戦術を教えるべきではない
というときの「創造性」は日本では曖昧に扱われすぎていて
逆に戦術的には創造性を増やすためにこそ、
戦術盤を使って局面ごとの選択肢を説明する
必要があるという話でした。





戦術的創造性については
W杯が終わり、欧州は新シーズンの準備へ。
Jリーグはリーグ戦が再開しています。

最近、あるサイトを見ながらこれはJリーグのレベルを
考えるときのひとつの参考材料になるんじゃないかと
思ったので書きます。

昔から

http://www.transfermarkt.co.uk/

というサイトをよくみてまして、もともどドイツの有名な
サイトの英語版のものなんですが世界中のプロサッカー選手の
欧州市場での価値を一覧にして更新しているものです。

日本人でどの選手が評価が高いかはもちろん
選手評価の総額をリーグ別
クラブ別に分類してみることができるのがおもしろいです。

例えばJ1が欧州でどれくらい人財市場として
評価されているかとか、日本で人材力のある
クラブはどことか、がわかるということですね。
例えばJ1は1億9411万ポンド(約366.6億円)の評価が
されていて、アジア圏のリーグの中ではさすがにNo1です。
アジアリーグのランキング↓


http://www.transfermarkt.co.uk/wettbewerbe/asien


ただ、個別のクラブごとの評価でみると広州恒大が
有名選手、監督を揃えているだけあって高い評価を得てます。

北米アフリカに目を向けるとさらにおもしろいです。

http://www.transfermarkt.co.uk/wettbewerbe/amerika

アルゼンチンはデータとしてないのですが
メキシコとブラジルの評価がだいぶ接近しています。

最後に欧州ですがこれはもう数字が化けてます。↓

http://www.transfermarkt.co.uk/wettbewerbe/europa

プレミアリーグ(31億7千万ポンド)
スペイン1部(24億1千万ポンド)、
イタリア1部(21億7千万ポンド)
ドイツ1部(20億ポンド)

と続いてJリーグの位置はスイスリーグより上で
ルーマニアリーグより下であり
欧州の中では13番目のリーグ評価になります。

さらに圧巻なのは
イギリス、ドイツ、イタリア、スペインについては
二部リーグであっても日本のJ1より
高い評価を受けてます。

あくまで欧州中心からの視点なので単純に
プレーレベルの評価が表れているわけではなく
言語力やその文化への適応度や年齢、
クラブやその国の投資額によって
相対的に選手の市場価値は変わります。
例えばバルサBの平均年令は19.3歳という低さであり
金の卵のような選手がたくさんいるので
実際のチーム力よりは将来への成長を期待して
現状のプレーよりも過大評価になってるかもしれません。

ただ欧州のクラブが選手を買う場合にJ1よりも
これらの二部リーグの方が良い選手を見つけられる
可能性が高いと評価されているということについては
間違いありません。

日本では欧州の二部リーグでプレーするぐらいなら
日本に戻ったほうがマシという考えをする選手も
います。しかしコンスタントに出場をすることを前提
にしたら、J1よりも英、独、伊、西の二部リーグ
でプレーする方が評価される可能性が高いという話です。

逆に欧州の一部リーグとはいえ、J1よりも評価の
低いところもあるので、闇雲に欧州のどこかの
一部リーグへ移籍するのはそのこと自体が
ステップダウンでになることもあり
考えものかもしれません。
ユルゲン・バイネク(Jürgen Weineck)という方の講習会が
カタルーニャサッカー協会主催で行われ
それに参加してきました。
ドイツで薬学の博士号を修め、
大学でスポーツ科学の教授をしつつ、
様々な著作物を発行している方です。↓

http://de.wikipedia.org/wiki/J%C3%BCrgen_Weineck

73歳のドイツ人のおじいちゃんでたどたどしいスペイン語ながら
情熱をもって語り、実際にトレーニングの例なども
参加者にさせる内容でした。
話の部分部分でドイツ代表がW杯で優勝するために
いかに努力してきたかをうかがい知ることのできる
ところもありとても興味深かったです。

内容としては各育成年代でいかに世界で活躍できる
選手を育てるかというものでした。

驚きは最初にアプローチすべき年代が
3-6歳というところから始まっていたことです。
日本もキンダークラスなどがありますが、
とりあえず遊ばせておけば良いというようなところが多く
明確でコンセプチュアルな指導ができているところは
それほど多くない気がしてます。

バイネクがいうにはドイツはこの年代の育成を
疎かにしていたことが大きな課題と考え、
以前からこの年代の育成改善にかなり注力したそうです。

実際に3-6歳年代で一番、重視されるのは脳神経系の部分です。
例えば子供の体全体から頭の大きさの割合は
成人に比べて大きいように、この時期は身体の成長よりも
脳神経系の成長の割合が高いといえます。

日本でも可塑性の高さという説明をされますね。
特にバイネクが語っていたのは違う作業を同時に
行う動作。それは例えばピアノであったり、お手玉であったり
縄跳びであったりということです。
そのような部分がこの時期には飛躍的に成長しやすく、
逆にこの時期を逃すと簡単に身につかなくなっていく
といっていました。
さらにこの時期についてはサッカーにかぎらず
鬼ごっこやその他のボール遊びやスタビライゼーション系の動きなど
いわゆる体全体のコーディネーション能力を育てることも
重要であるともいっていました。

そしてそれらのコーディネーション能力を身につけるためには
子供が「真似る」癖を利用することが重要になるといってました。
つまり大人や他の子供の動きを真似てみるという
特徴がこの年代の子供にあり、これをうまく
利用すべきだという話ですね。

この話をきいて真っ先に思ったのは
スペイン人のインステップキックの習得についてです。
僕が日本の地域クラブで指導をしていたとき
小学校低学年でボールを蹴らせると
トーキックをする子供がほとんどで、まず最初に
インサイドキックやインステップキックを教えることから
始めねばなりませんでした。
しかしこちらで5歳ぐらいですと利き足であれば
問題なく蹴れている子供がほとんどだったのです。
こちらでは物心がつく前から家族や友人とボールを蹴ったり、
実際にサッカーの試合や練習を見て
誰かに教わる前に既に遊びの中で「真似」て
覚えることができている。
バイネクの話で確信をもってそのように
思えるようになりました。

実際にバイネクの話でも以前のドイツでは室内で子供を遊ばせる
ことが多く、物心がつく前からボールや様々な遊びをさせる環境が
少なかったといっていました。
そして人工的にこれらの環境づくりに取り組んだ
経緯がサッカー協会にあったともいっていました。

日本も本当にW杯で優勝を狙うのであればそういう環境から
見直さないといけないと思いました。

さらにバイネクの話で自分が指導しているチームの
ことを考えさせられました。
現状では自分一人しかコーチがおらず練習全体を
オーガナイズするために子供たちに
常時、プレーを見せられる環境にありません。
そういう意味でアシスタントコーチが必要だなと
改めて思いました。

全体を通して語られたのはドイツサッカーが以前は
フィジカル系の観点のみに注力して脳神経系からみた
アプローチを軽視していたこと。
今はそれを反省してフィジカル強度とともに、
局面における反応と反射においても世界を席巻できる
レベルに至ることができたという話でした。

この反射の話についてはまた詳しく話せたらと思いますので
それではまた。
日本代表がワールドカップのグループリーグで敗退した後
本田選手が日本に帰国しなかったことをよく思わない
人が結構いるとか。日本を代表しているので
帰国してチームとしてもう一度、国民に
報告と挨拶をすべきという意見ですね。

僕は選手側で見てるので本田の行動を擁護したくなります。
というのは彼には頭と体の部分で十分な休養が必要であり
来シーズンに向けて万全の準備が必要と思うからです。
そもそもミランで10番を背負いながらプレーするだけでも
そのストレスとプレッシャーは計り知れないのに
彼の場合はさらに体調不良に苦しみながら
シーズンを過ごしました。
全く走れていない試合も何度かあり
いかに体調面で苦しんでいたかは
試合をみればわかります。

さらにミランは監督も変わり、本田が昨シーズンと同じくらい
スタメン起用されるという保証は全くなくなりました。
さらに昨シーズンの不調でイタリアのマスコミの
風当たりも相当強く、彼が来期のミランの構想に
入ってないという意見もあります。

つまり来シーズンに向けてのスタメン争いは既に始まっていて
彼の立場は既に大変厳しいものになっているということです。

リアルな言い方をするとプロ選手としての評価を受ける
源泉は日本代表ではなく所属クラブでの活躍です。
仮に彼がサッカー選手として職にあぶれたとしても
日本代表は彼を選出しないだけでほとんど助けになりません。
日本に帰国すればマスコミ対応もありますし、
各所に挨拶回りをすることも必要ですし
日本では派手な遊びをしたくなる誘惑にも駆られるでしょう。
そういう意味でしっかりとした休養と来シーズンに向けた
万全の準備ができると僕は思えません。

碓かに日本代表という組織の中でけじめをつけるべきという
意見も一理ありますが、プロサッカー選手としてのキャリアを
天秤にかけた場合、後者を優先すべきなのは当然なのではと。

日本のマスコミも叩きやすい対象として本田を叩いていますが
W杯で勝つための準備がサッカー協会の組織として
きちんとできていたのか、今回のW杯の総括をする前に
次期代表監督の選出を原さんが
そのままやっていいのかとか
もっと本質的な問題があるはずです。
権力を握っている強者にはなびいて、叩きやすい弱者は
とことん叩くという「弱い者いじめ」の構図にもう飽き飽きしています。
先日、バルサ ユースAチームの監督である
ジョルディ・ビニャルスの講習会がありました。
主催はカタルーニャサッカー協会です。

ジョルディを僕が知ったきっかけは三部リーグで
オスピタレットを率いていた時に国王杯で
バルサと対戦した時の試合です。
バルサもジョルディの実力を知っていたのか
普通であれば三部リーグのチーム相手に主力を
温存するのにスタメンを全て投入してきました。
彼のチームはバルサ陣内ではラインを高く保って
激しいプレスを、バルサがオスピタレット陣内に
入ってくるとラインを深く保って極端なブロック守備で
対応していました。二つの極端な守備戦術を
同じ試合に同時運用すれば選手の走る量は増えて
90分遂行するのが難しいのですがそれを
実現していたのが僕にはショックでした。
その試合は結局イニエスタの芸術的なゴールで
勝ちましたが、ジョルディの名声はその試合でさらに
上がったようです。
その後もバルサのユースA(U18)の監督に
引きぬかれて、今年から始まったUEFA
チャンピオンズ ユースリーグで優勝し
欧州No1のユースチームという
称号を手に入れています。

今回はそんな彼の講習会の内容をお伝えします。
表題は「練習における実践的展望」
という固い感じのものでしたが、
内容としてはシーズンのある一週間を切り抜いて
彼が実践しているミクロサイクル(一週間のサイクル)
を見ていこうという内容でした。

その週はユース年代の国王杯であたるセビージャの
分析から始まります。

フィールドプレーヤーの特徴
GKの特徴
システム
守備の特徴
攻撃の特徴
セットプレーの守備
セットプレーの攻撃

という分け方で整理していました。

実際に試合の映像を見てどういう感想を持ったか
会場の人にきいてみながら話は進みました。

例えば攻撃の特徴は
・トップの頭を狙うロングボール主体だが
 セカンドボールのカバーができていない

とか

・逆にエントレリニアスを利用する攻撃は皆無

とか。

守備の特徴は
・プレスは前線から積極的にかけてくる。
・センターバックはラインディフェンスを重視しすぎて
 チャレンジ&カバーの関係が十分でない。
・左SBが自分のスペースを飛び出して相手のウイングの
 マークに極端に食いつく傾向がある。

などなど。

攻守の特徴を踏まえたうえで得点(失点)の可能性を
洗い出してこれをもとに練習をつくっていきます。

例えば相手左SBが味方右ウイングに食いついてできたスペースを
味方右SBが利用して攻めるパターンの確認などなど。

あるいはエントレリニアスからの攻撃の連携の確認などなど。

彼の話をきいていて思ったのは
結局、あたりまえのことをあたりまえにやることが、
一番の近道であるということです。
相手チームの強みと弱み、相手の攻守の癖などを
深く分析して自分たちの戦力に照らしあわせて、
最前の解決策をたてる。

難しいのは変に細かすぎても次の試合には前の試合と
様子が違ってしまってることもあるので、
分析する視点と深さは適切な範囲で考えていく必要があります。

特に分析の枠組み自体に特別なものがあるわけではなく
いかに彼我のチームをうまく分析して相手の穴を的確についていく
かが重要であり、その分析力と練習における実現力に
かかってるということを改めて確認しました。