バルサのユースA監督の講習会に参加してきました | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

先日、バルサ ユースAチームの監督である
ジョルディ・ビニャルスの講習会がありました。
主催はカタルーニャサッカー協会です。

ジョルディを僕が知ったきっかけは三部リーグで
オスピタレットを率いていた時に国王杯で
バルサと対戦した時の試合です。
バルサもジョルディの実力を知っていたのか
普通であれば三部リーグのチーム相手に主力を
温存するのにスタメンを全て投入してきました。
彼のチームはバルサ陣内ではラインを高く保って
激しいプレスを、バルサがオスピタレット陣内に
入ってくるとラインを深く保って極端なブロック守備で
対応していました。二つの極端な守備戦術を
同じ試合に同時運用すれば選手の走る量は増えて
90分遂行するのが難しいのですがそれを
実現していたのが僕にはショックでした。
その試合は結局イニエスタの芸術的なゴールで
勝ちましたが、ジョルディの名声はその試合でさらに
上がったようです。
その後もバルサのユースA(U18)の監督に
引きぬかれて、今年から始まったUEFA
チャンピオンズ ユースリーグで優勝し
欧州No1のユースチームという
称号を手に入れています。

今回はそんな彼の講習会の内容をお伝えします。
表題は「練習における実践的展望」
という固い感じのものでしたが、
内容としてはシーズンのある一週間を切り抜いて
彼が実践しているミクロサイクル(一週間のサイクル)
を見ていこうという内容でした。

その週はユース年代の国王杯であたるセビージャの
分析から始まります。

フィールドプレーヤーの特徴
GKの特徴
システム
守備の特徴
攻撃の特徴
セットプレーの守備
セットプレーの攻撃

という分け方で整理していました。

実際に試合の映像を見てどういう感想を持ったか
会場の人にきいてみながら話は進みました。

例えば攻撃の特徴は
・トップの頭を狙うロングボール主体だが
 セカンドボールのカバーができていない

とか

・逆にエントレリニアスを利用する攻撃は皆無

とか。

守備の特徴は
・プレスは前線から積極的にかけてくる。
・センターバックはラインディフェンスを重視しすぎて
 チャレンジ&カバーの関係が十分でない。
・左SBが自分のスペースを飛び出して相手のウイングの
 マークに極端に食いつく傾向がある。

などなど。

攻守の特徴を踏まえたうえで得点(失点)の可能性を
洗い出してこれをもとに練習をつくっていきます。

例えば相手左SBが味方右ウイングに食いついてできたスペースを
味方右SBが利用して攻めるパターンの確認などなど。

あるいはエントレリニアスからの攻撃の連携の確認などなど。

彼の話をきいていて思ったのは
結局、あたりまえのことをあたりまえにやることが、
一番の近道であるということです。
相手チームの強みと弱み、相手の攻守の癖などを
深く分析して自分たちの戦力に照らしあわせて、
最前の解決策をたてる。

難しいのは変に細かすぎても次の試合には前の試合と
様子が違ってしまってることもあるので、
分析する視点と深さは適切な範囲で考えていく必要があります。

特に分析の枠組み自体に特別なものがあるわけではなく
いかに彼我のチームをうまく分析して相手の穴を的確についていく
かが重要であり、その分析力と練習における実現力に
かかってるということを改めて確認しました。