日本代表がW杯で優勝するための提言 | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

昨日U19日本代表が準々決勝で北朝鮮にPK戦の末に敗れ
4大会連続で世界出場できないことになりました。
U19年代で4大会も世界大会に出場できないのは
Jリーグ発足後初めてのことです。

単純にいうことはできないものの
将来彼らの世代が日本代表の中心を担うときに
W杯出場を達成するのに確実に苦しむことを
今回までの結果は示しています。
僕自身としてはこれは日本サッカーにとって
たいへんな危機と思っています。

日本代表がW杯出場できなくなれば
スポンサーや放映権など代表収入が減り
併せてJリーグ人気も確実に衰え
日本サッカーの市場自体が縮小するので。

スペインサッカー人の端くれとはいえ
長くこちらにいながら思っていたことを
日本サッカーへの提言として書いておきます。
ただしこれには僕自身の偏見や誤解もあるかも
しれないので、そのときはコメントで
ご指摘いただけるとありがたいです。

1,指導者資格講習会の民営化
サッカー協会の技術委員会が主催する指導者資格講習会
(特にS級)について授業科目と内容を透明化し
協会認可の下、企業や他の教育機関が行うことを認める。
Jリーグができて20年経過しながらS級資格を養成する講習会が
全国に一つしかなく、協会内部で独占状態になってるのは異常です。
選手や指導者、クラブチームが競争環境にあるように
指導者講習会の制度にも競争原理を導入すべきと思います。
スペインでは各指導者学校が乱立しすぎて一部不正を働いた
学校もありましたが、総じて各学校が受講者らの評判を意識
しながら指導内容やカリキュラムを工夫しています。

2,外資規制(Jリーグ規約12条2)の撤廃
Jクラブの株主の過半数が外国人である場合を
認めるべきという話です。
日本国内で潤沢な資金調達をしてきた
Jリーグ草創期のモデルは日本経済の低迷とともに
完全に崩れました。
各クラブは資金調達に汲々として選手の平均年俸も
アジアでトップといえません。
サッカー選手よりもサラリーマンをした方が
生涯年収が高いということもザラです。
つまり日本でプロサッカー選手になることが
必ずしも経済的成功にならないということです。
これでは優秀な人材確保に大きな支障をきたしますし
選手の海外流出も止められません。
プレミアリーグの20クラブのうち10クラブ
は外国人オーナーであり、スペインリーグも
経済危機にもかかわらず外国人オーナーに
資金援助を得て運営しているクラブもいくつもあります。
近年のACLにおいてもJリーグは資金面の縛りから
中国や韓国のクラブに完全に後塵を拝しています。
中国ではスペイン人のトップ選手と契約する替わりに
スペインの銀行のスポンサーをつけたり、日本に比べて
資金調達面で一歩先をいっています。
Jリーグも国内だけでなく幅広く資金調達できるように
上記の規約を撤廃すべきと思います。
さらにJリーグのスポンサーに配慮して
Jクラブが酒造メーカーのスポンサーにつけることを
許さないとか、単なる印象論でパチンコメーカーからの
広告は受け付けないとか、各クラブの経済的な苦しみに
対してあまりにも目先の発想しかできていないと
思っています。

3,育成レベルのリーグ制度の改善
サッカーの強豪と呼ばれる国には必ず育成レベルで
ピラミッド状の年間リーグ制度があります。
日本も既に育成レベルのリーグ戦が
導入されていますがリーグ内のチーム数が
少ないために「年間を通じて」という部分で
まだ発展途上です。
もちろん他のカップ戦や学校行事があったり
試合会場の確保に苦労されているのが
現実とは思いますが。
100年の歴史があるスペインと
単純比較はできませんが
こちらは16チームのホームアンドアウェイで
年間30試合がU9年代からあり、
さらに完全に昇降格のあるピラミッド状の
リーグになってます。
これらの競争環境の中で選手、指導者、
クラブチームが切磋琢磨しています。

4、審判の評価制度について
日本の審判の質がよく問題視されますが
僕は審判を審判する部分
がブラックボックスすぎて問題だと思います。
もっと評価を透明化してリーグ制度同様
明確な昇降格制度をつくるべきと。
場合によっては各チームの選手や監督による評価を
加味するのも良いでのは。
審判が試合を壊す試合ほど観ている人の
モチベーションを落とすものはないのでこの部分の改善は必須かなと。

5,キンダー年代への注力
ドイツはこの年代から英才教育ができる環境をつくり
長い低迷を脱して今回のW杯で優勝した礎を築いたと
多くのドイツ人サッカー関係者は言っています。
日本でもキンダー年代への普及の取り組みはありますが
強化という意味ではとらえられていません。
将来のスーパースターをどのように育成するか
という部分が弱いと感じています。
特に最近は子供たちの運動能力が低下しているとも
いわれますがこれはドイツの昔の傾向と似ていると思っています。
音楽や野球に英才教育があるようにサッカーにおいても
普及のみならず選手強化という意味でこの部分に注力すべきと。

などとつれづれなるままに思いついたことを書きましたが
異論、反論などコメントにいただけるとまたありがたいです。

よろしくお願いします。