サッカーにおける改善と最適化の違いについて | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

ご無沙汰してます。
久しぶりの更新です。

 現在スペインの指導者資格の
最高であるレベル3を受講中です。
一応これをめでたく卒業すれば
スペイン一部リーグのクラブを指揮できますが、監督業は実力本位の世界なのでレベル3をとったからすぐプロクラブと契約できるということではありません。
しかしプロ監督への登竜門であり、自分の知見を広げるという意味で参加しております。

 その上で今回は指導方法論という授業で
学んだことがとても興味深かったので
フィードバックさせていただきます。

テーマはサッカーにおける
「改善」と「最適化」の違いについて

「改善」とは選手やチームにおけるプレー価値を高めることです。
具体的に言うとドリブル突破の確度だったり、パスのスピードやその精度、試合中のスプリント数、持久力、アジリティ、競り合いの強さなど技術、戦術、フィジカル、メンタル、全ての範囲でそれらは当てはまります。

「最適化」というのは様々に変化する試合状況をみて多方向に最適解を選手らが導けるようにすることです。
例えば相手がDFラインを極端に上げ中盤をコンパクトにしているのに足元への短いパスやドリブル突破に固執してスペースの少ないところを何度も攻めるよりも、タイミングをみてDFラインの裏にボールを出して裏を狙った方が守備攻略に最適といえます。
あるいは相手がゴール前を固めて味方FWがしっかりマークされている状態の時に遠いサイドからむやみに精度の低いクロスを上げるよりもサイドで数的優位をつくってサイドを抉りつつゴール前に迫り味方へマイナス方向のグラウンダーパスを狙う方が最適といえます。
これら彼我の選手らの配置条件に限らず、得点や順位の状況、気象条件、彼我の個々の戦力差、試合の時間経過など様々な条件によって最適解は多様に変わっていきます。
直前のプレーでミドルシュートをみせて相手の脳裏にそのイメージが残ってるから次はキックフェイントしてみようとか、自分のエントレリネアスの動きに対して相手は自分をマークしてこないのでもう一度エントレリネアスを仕掛けてみようとか、相手との駆け引きによっても最適なプレーが導かれます。

「改善」には明確な方向性がある反面、必ず身体能力やメンタルも含め何らかの原因で限界にぶつかります。
それに対して「最適化」は千差万別に局面が変化し最適解も変わる分、その追求に限界がありません。

「改善」と「最適化」はどちらもサッカーに重要な要素であって指導者は両方のバランスをとって指導する必要があるという話でした。 

バルセロナに遠征してくる日本の育成年代のチームとこちらのチームの試合をよく観戦させていただく機会があります。そこで前半は良い勝負をしているのに後半には日本のチームが堰を切ったようにこちらのチームにボコられてしまう現象をよくみます。

それはこちらの監督や選手らが前半で相手チームの戦い方を分析し後半のための最適解を導き、戦い方をうまく修正しているからと思っています。

Jリーグや日本代表はどうか?という話は機会があればするとして、今回のお話が日本の育成年代の指導者の方に少しでも役立てば、と思います。